着物のコラム・豆知識

着物と帯の色合わせについて　川口市在住　40代女性

着物と帯、その他の小物との色合わせは、着物に使われている色から用いると全体がまとまります。

また、着物と帯を、色は違えど共に淡くしてしまうと全体的に優しい感じに、マイナスにとらえると、ぼやけた印象になってしまいます。反対に、着物と帯を色は違えど濃い配色にしますと、全体的にビビットな色になり、見る人の目を惹きつけます。今回はどちらでも無い、同色で配してみました。

紫の正絹・小紋は祖母の若い時の着物で、帯は絞り風の名古屋帯で、アンティークを扱う着物屋さんから購入しました。

紫色にも色々ありまして、もう少し赤みが強い紫、青みが強い紫など、並べて見比べるとその違いは様々です。また、この着物は、袷(あわせ)と言いまして、裏生地のあるもので、着用時期は秋〜春になります。

写真下左が表の柄、右が裏の柄です。この様に裏をめくると異なる生地を使っている事が分かります。

裏生地の模様は、「矢羽根模様(やばねもよう)」や「矢絣(やがすり)」と呼ばれ、よく目にする柄です。

年代の古い着物をお召しになる際は、全体的に糸や生地の傷みがあるので、着用中にビリッとならない様、雨に濡れない様、注意が必要です。ですが、この古さも長い年月を重ねないと出ない、とても良い雰囲気だと思いますので、どうぞ怖がらずにチャレンジしてみて下さい。

ちなみに、私がこの組み合わせで着用した際の他の小物は、半襟、帯締め、足袋は白色を。帯揚げは淡い薄いピンク色を入れ、全体的に首、胸元、お腹、足のポイントで色味が引き締まるようにしました。

  着物の思い出

さいたま市在住　20代女性　Sさん

念願かなって、ようやく着ることの出来た着物の話です。

2011年、私は大学を卒業しました。晴れの卒業式のためにと、両親に着物を買ってもらって、着るのを本当に楽しみにしていました。しかしその年は、忘れもしない東日本大震災があった年で、私の大学の卒業式は3月13日の予定でした。

3月11日の地震で私の地元も混乱し、大学の卒業式は中止となり、大学のキャンパスで卒業証書の授与のみが静かに行われました。もちろん地震の混乱のなか、着物を着る人はおらず、私もせっかく買ってもらった着物をきることなく大学を卒業しました。

その後、地元の銀行に勤務したのですが、また着物を着る機会がやってきたのです。それは新年のご挨拶として、1月最初の営業日にお取引先の方々を、着物で仕事をするというものでした。

もちろん私は「この機会にぜひ着物を着たい」と立候補し、着物を着れることになりました。当日は、朝早く着付けに行って、着物に着替えた状態で出勤し働きました。着物姿での業務は大変でしたが、ようやく着ることの出来た着物に大満足でした。

仕事のあとも着物のまま家に帰り、両親に着物姿を見せることもでき、とても喜んでくれました。