こんにちは、Kimono club BLA`N`REDの着付け師の『千葉』です。
今回の記事は「男性が女物の着物を着こなす!女物着こなしコーデ」です。
今や男性が女性仕立ての着物を着る事は珍しくありませんし、実際、SNSでもよくお見かけします。
着物を思い思いに楽しんでいる男性には「何をいまさら」なテーマでしょう。
ただ、まだ馴染みのない方もいると思いますので概要をまとめてみました。
参考になればぜひ!
はじめに
こちらの写真の男性ですが、じつは女性物の着物と羽織を着ています。
ちなみに、私の夫です。
こうしてみると、パッと見た目では女性物とは思いませんよね?
それにしても、なぜ男物の着物があるのにわざわざ女物を着ているのか?と不思議に思う方もいるでしょう。
そこで夫に直接、女性物を着ている理由を聞いてみました。
夫が女性物を着る4つの理由
- 男性物に着たい色柄がない
- リサイクルショップでは圧倒的に女物の着物が多く、自分の好みのものも多い
- ファッションとして洋服のように普段着で着るなら自分の好みを着たい
- そもそも地味なものより派手なものが好き
じつは夫は自分サイズで仕立てた男物の着物も持っています。
当然そちらで出かけることもありますが、本人的には
- 夫
-
TPOにあわせて、どちらも楽しめたらいいじゃん!
こんなスタンスのようで、それは私も同感です。
なにより、私も兼用で着られますし、一石二鳥です♪
女物着物のコーディネート
ここからは実際のコーディネートの実例をお見せします。
この女物着物のコーデは、近所の神社を散策したときのものです。
全体のコーディネートとしては、色使いを少なくしています。
メインは黒とグレー。
しかし、着物の光沢、羽織の金糸、ベロアの光沢が相まって、さほど地味ではない仕上がりですね。
コーディネートの詳細
参考のために着用している夫のデータと着物のデータを記載しましょう。
【夫のデータ】
- 身長…175.5cm
- 体重…63.9㎏
- 腹囲…75.0cm
【コーディネートのアイテム一覧】
- 着物…古着(1,000円前後)
- 兵児帯…古着(500円~1,000円位)
- 羽織…古着
- 草履…靴屋さんで新品購入
- ショール…祖母の古着
- 羽織紐…友人のお手製
男性が着る女性物ですから着物のサイズが気になりますよね?
それでは身丈を計測してみます。
ご覧のように身丈が146cmしかありません。
私が着用してもおはしょりが出来ず、裄も足りないのでちんちくりんでしょう。
では、なぜ夫はそんな着物を購入したのか聞いてみました。
- 夫
-
着物の柄・この光沢感が気に入ったから。
彼が気に入ったという着物のアップ画をどうぞ!
女性物のサイズをどう着こなすか?
さて、この小さい女性物の着物をどう着こなしたのか気になるところでしょう。
この着物、じつは着丈がちょうど良く、「身丈=着丈」でした。
(※男性の着丈は「身長 – 27cm」です。)
ただ、通常の男性の襦袢の上に羽織ってしまうと確実に袖回りがはみ出て困ります。
そこで、インナーに襦袢代わりの袖丈長めのカットソーを着用。
それによりこのようなコーディネートになりました。
こうやってみると、袖口がワイドな七分袖のジャケットを羽織っているように見えませんか?
羽織とショールも合わせて、黒系で縦ラインを作ったので、洋服と着物との境目の違和感は無いと思います。
羽織にも一工夫
先程の写真では違和感なく着ている(ように見える)羽織ですが、こちらも女物でサイズの問題があります。
例えば、本来の羽織の乳(ち)の部分(羽織紐を付ける所・羽織に付いている輪っかの部分)に羽織紐をつけると、とても窮屈な感じです。
そのため、クリップタイプの羽織紐を本来の乳の位置より下に付けることにより、身長とのバランスを取りました。
クリップタイプはかませるだけなので、このような時には便利ですね。
女物着物の着付けについて
着付けについては、着物は女物でも通常の男性の着方にしています。
襦袢がないだけで、下にはウエストが紐で生地が薄めのズボンを履いています。
腰紐も紐ではなくマジックベルトを使ったので本人は楽だったみたいですよ。
身幅(腰回り)もまあまあギリギリで、もう少し幅があっても良いかな?と思いましたが、「身幅が足りない」と言い切るほどではありませんでした。
帯は男性物の兵児帯を二周して、後ろにリボン結びで結びました。
このように着付けに特別な工夫はいりません。
一箇所だけ工夫
特別な工夫はいりませんといいましたが、今回は襟だけ少し細工しました!
首の後ろに広襟かつスナップボタンがついていない為、簡単に縫い留めています。
まとめ
着物でのお出かけは「何を着たいのか?」「どこへ行くのか?」、TPOさえ押さえれば基本的に自由です。
「男性の着物はこういうものを着るべし」みたいな感覚がまだまだ残っていたりしますが、着物をただの「普段着・遊び着」として着ても構いません。洋服と同じように着ればいいだけです。
女物の着物をそのまま着ても良いし、お裁縫が得意な方は手を加えて独自のアレンジをされても良いです。
着物のコーディネートの楽しみ方は既に多様化しているんですから。
このように肩の力を抜いてみると着物の楽しみ方がより広がると思います!
男性の着物ライフももっと楽しくなりますように…ではまた。
記事投稿者
KIMONO CLUB BLA'N'RED
着付師 千葉真実(ちば まみ)
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Instagram→mami.c_bla.n.red
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夫の独り言
10年ほど前、私は呉服屋さんの店員に「そんな色や柄、男性は着ないよ!」と言われたことがあります。
着物が着たいとワクワクしながら選びにいったのに、リクエストを却下されてしまうその気持ち。
正直、悲しかったです。
その頃は、妻も私も着物やコーディネートについて詳しくなかったので「ああ…男はこういう柄の着物とか着ちゃいけないんだー…」と思って、何も買わずにトボトボと帰りました。
ちなみに、リクエストは、白地に墨で絵を描いた様な着物。
今考えると全然きてもいいですよね?(笑)
これは10年前の地方の話なので、今ではそんな言葉をかける人はいないかもしれません。
ただ、事実としてこのようによく分からない「着物の着用ルール」がある(あった?)という事です。
もし、あなたにもこのような「ルールの押しつけ」があったとしても、ネガティブにとらえず「自分の着用ルール」に従ったらいいですよ。
私たちのように「どちらも楽しんだら良いじゃない♪」と!
まあ、いまでは男性物でも多くのブランドにて様々な色柄の着物が提供されていますので、好みの着物を「探すのが困難」という状況ではないかもしれませんが(笑)
ぜひあなたも着物を着たいように楽しんでください♪
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