着物のシミ抜きや対処法

着物のシミ抜き対処法!2つの実例を紹介

こんにちは、着物の着付け師の「千葉」です。

本日は、着物(浴衣)のシミ抜き対処法について、実例を交えながらご紹介したいと思います♪

誰にでも起こりうる悲劇…思わぬアクシデントから「着物(浴衣)が汚れてしまった!どうしよう!」という時、慌てずに、ぜひ、これからお話します2つの事例を思い出してくださいませ~

 

浴衣の醤油染みを自力で解決!

まずは浴衣の醤油染みを自力で解決した私の実体験からご紹介します。

数年前(確か3年前)、友人達と和食屋さんへ「浴衣でランチ」に行った時でした。

浴衣の実際の写真をご覧頂きたいのですが…

あら?どっちの浴衣だったかなぁ…(汗)

スミマセン!ちょっと自信が無いので両方載せます

着物のシミ抜き1-1

どちらかが醤油をこぼした浴衣

ランチは懐石料理

お刺身があり、食べ終わった後に店員さんがお皿を引きに来られたのですが…

ガチャン!!

店員さんが抱えている食器同士がぶつかり

まさかの醤油皿が私のひざに!!!?

「ぎゃー!!!」

お刺身は食べ終わっていたので、お皿に残っていたお醤油は少なかったのですが、それでも太ももあたりに全部こぼれていました。

このあたりです。

着物のシミ抜き2-2

このあたりに醤油をこぼしたはず…

着物や浴衣での食事の際は汚さないように、特に所作には気を付けていたのですが、「まさか…」と一時停止状態に。

そのため自分自身ですぐに対処できずにいましたが、同席していた友人が神対応!!

即座に、私と店員さんに指示をしてくれました

浴衣に醤油をこぼしたときの対処方法

写真のように醤油がこぼれた浴衣の下に固く絞ったおしぼりを置きます。

着物のシミ抜き3

硬く絞ったおしぼりを浴衣の下に布

絞ってないタオル(その時はお湯に浸してほんの少し軽く絞った状態)を何枚も使って何度も上から押さえる

着物のシミ抜き4

乾いたタオルで上から押さえる

浴衣に染みた醤油を下に敷いたおしぼりの方に移していくイメージ

着物のシミ抜き5-1

下の布に汚れを移していく

これで、どこにこぼしたのか分からないほどに!

同時に、「叩いたり、擦ったりしてはいけない」と言われましたので言いつけは守って作業しました

着物のシミ抜き6-1

叩く・こするは絶対NGです

*実際には浴衣は着用したままでの作業です*

ランチを終え、帰宅後すぐにネットに入れて洗濯機で洗いました!

ちなみに品質表示はこうなっています

着物のシミ抜き7

品質表示

その時から数年たってもシミが浮き出たりしていません。

ランチの写真も残っていなかったので

今回、「どっちを着たんだっけ?!」と分からなくなって…ごめんなさい

(この2着のどちらかは確実…!)

ちなみに、現在の状態も載せておきます

アップで分かりにくいので、名称を入れますね!

着物のシミ抜き8着物のシミ抜き9着物のシミ抜き10

全く分かりませんよね♪

ハート

正絹の色留袖は即専門業者行き!

こちらは50代後半の知人の実体験です

20数年前の親族の結婚式。
出席にあたり、彼女自身の色留袖を初お披露目!

お式も終盤を迎え、最後のデザート&コーヒーが運ばれてきた、その時…

まだ赤ちゃんだった息子さんがコーヒーをひっくり返し、全部ひざにかかってしまいました。

お話を伺った際、
全部よ!全部!!」と興奮した感じで言われ、相当ショックだったのだろうと…。

その場では、テーブルナプキンで抑えて、ある程度吸い取らせ、数日後シミ抜きに。

彼女が出した先は、「悉皆屋(しっかいや)さん」と呼ばれる、着物専門のシミ抜き業者さんでした。

帰宅後、すぐにはシミ抜きに持って行けず、数日経過していたものの
さすがは専門業者さん

見事に綺麗になって戻ってきたそうです♪

それ以降、その色留袖は一度も着る機会が無いままタンスに。

そしてつい先日、家族の結婚式で再び(娘が)着ることになり、20数年ぶりにタンスから出したところ、コーヒーの跡は一切無く綺麗な状態でした!

着物汚れの対処・心得

彼女が教えてくれた「着物汚れの対処」といいますか、「心得」的な話と、これまでに「悉皆屋さん」「呉服屋さん」から受けたアドバイスをご紹介します。

1)おしぼりで絶対拭かない

理由)

消毒等化学薬品が混在しているため、それに反応して着物が色落ちする場合もある

2)水で拭かない

理由)

水でたたいたら、広がって輪ジミができてしまう

こぼした液体自体は薄まるが、その分広がって、にじみになって、それが新たな大きなシミになる

そうなると取れにくくなる。

「どきっ!!!(私、浴衣の下におしぼり敷いたけど…)」私の場合、浴衣だったので良かったのでしょうか…??色落ちはありませんでした。

おそらく薬品が含まれているであろう状態のおしぼりをそのまま使ったのは、浴衣の下敷きにした部分だけでした。

上から押さえに使ったタオルは、ただのお湯だったと思うので…

店員さんに確認していないので憶測ですが、結構タオルがべちゃべちゃの状態で熱かったので、お湯に浸して持って来られたのかな?

3)良い物(正絹の着物等)は自分で触らず、すぐにシミ抜きに出すことが鉄則

理由)

色々と自己解決シミ抜き方法があるが、布の状態を判断して適切な対応をするのはやはり素人では難しい。

高級な絹素材は取り扱いに注意!

「プロに任せる!」と、力強く仰いました。

着物のシミ抜きクリーニングとは?

次は、私がこれまでに収集した情報をご紹介します。
「個人経営のクリーニング屋さん」「呉服屋さん」から伺った話です。

シミ抜きに限らず、「クリーニング」という点で、着物の扱いについてお尋ねしたことがありました。

1)こぼしたものが付いている状態で持っていく

自分で色々試行錯誤した結果、「取れなかった」と言ってシミ抜きに持って来られると困るので、こぼしたものがそのまま付いている状態で持って来てもらう事が一番解決しやすい

理由)

「こぼしたものに何を加えたのか?(自分での処置の過程で)」、「自己判断で何をしたか?」によって、処理工程が変わってくるそうです(うーん…かえって複雑になるんですね)

2)クリーニングに出すお店に注意する

理由)

クリーニング屋さんによっては、工場で処理するので、刺繍や染め物など、取り扱いに最新の注意を払うべき衣類は出すお店に注意すること。

「自分の店では、刺繍のある着物などは持って来られても取り扱い出来ない」と断言されたお店もありました…となると、やはり着物お手入れ専門店を知っておかなければいけませんね

3)悉皆屋(しっかいや)さんは、着物専門

理由)

悉皆屋(しっかいや)さんは、洗い張り・シミ抜き等、着物のお手入れを請け負っていらっしゃいますので着物専門というイメージですね。

絹は水に通すと縮みますし、その他、麻や絞りの浴衣など、良いお品物をシミ抜き・クリーニングするならこちらが安心です。

和服の扱いに慣れていらっしゃるので、状態に応じた適切な処理をして頂けます。

4)一般のクリーニング屋さんは基本的に洋服専門のイメージで

理由)

「基本的…」と付けたのは、つくり帯とセットの市販のプレタ浴衣(仕立てあがりを販売されている)等は、一般的なクリーニング店でも全く問題ありませんでした。

チェーン店のクリーニング屋さんに何枚も出して経験済。

ただ、細かいことですが、クリーニング後の畳み方で「なんでここに?」という場所に変な皺がくっきり付いていたりしました。

まあ、畳み方まで言い出すと、「悉皆屋さんにGO!」となりますね(笑)

まとめ

「シミ抜きは、何も手を加えず悉皆屋さんに出す事」が、良い状態で戻ってきて、以後も永く着用出来るベストな方法だと思います。

「悉皆屋さんを知らない」という方も大丈夫ですよ。

着物を誂えたことのある方は、その呉服屋さん経由で!(呉服屋さんと取引のある悉皆屋さんに出せます)

無ければ最寄りの呉服屋さんに飛び込みでお尋ねしてみるか、着物歴の長い方に尋ねてみる。

どちらもちょっと無理…という場合は、ネットで「悉皆(しっかい)、お住いの都道府県」で検索して、出てきたお店に「シミの経緯、着物の種類、見積もり」を問い合わせてみる。

金額はお高めだと思いますが、繊細な着物はそれだけ扱いが慎重だということです。

私もこの先、お気に入りの正絹の着物に万が一シミが付いてしまったら、早い段階で「悉皆屋さん」に出そうと思っています!

以上、着付け師の「千葉」でした。

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記事投稿者

KIMONO CLUB BLA'N'RED
着付師 千葉真実(ちば まみ)
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